2013年2月6日水曜日

映画に出てくる「のぞきからくり 不如帰」


映画に出てくる「のぞきからくり」の口上

のぞきからくり「不如帰」が出てくる映画を2本紹介する。
「時代屋の女房」、 「長屋紳士録」

松竹映画「時代屋の女房」 1983年

のぞきからくり(不如帰)が出てくる松竹映画「時代屋の女房」1983年  (第87回直木賞を受賞した村松友視の同名小説の映画化)

出演:渡瀬恒彦:安さん、夏目雅子:真弓、夏目雅子:美郷

この映画には、「覗きカラクリ」が頻繁に登場する。外題は「不如帰」


「覗きカラクリ」(のぞきからくり)
安さんと真弓は、古道具の買い付けで東北の田舎を行脚したことがあるようで、この時寂れた旅館「平野屋」で「覗きカラクリ」を見つけますが、その時は売ってもらえなかった。安さんはこの「覗きカラクリ」を時折思い浮かべ、「覗きカラクリ」の前で踊る真弓、「覗きカラクリ」の演目である「不如帰」のヒロイン浪子に真弓のイメージを重ねますが、BGMはいずれも春歌、猥歌。

安さん、マスター、鈴木健一、平野旅館の主人の4人が「覗きカラクリ」の前で春歌をがなりたてる。
「時代屋の女房」のなかで、盛岡の「のぞきからくり」のおじいさん(坂野比呂志)が歌っていたのは「のぞきからくり 不如帰(ホトトギス)」の春歌版であった。

 「武男と浪子の替歌」(春歌版)
タケオがボートに移るとき   ナミさん赤い腰巻を
おへその上まで捲(まく)り上げ  これに未練はないかいな  
ナミコがボートに移るとき   タケオは紺のズボンをば  
膝の下まで摺(ず)り下ろし  これに未練はないかいな  




歌:笠 智衆  監督 小津安二郎  (1947年 日本)


三府の一の東京で(ああどっこい)/波に漂うますらおが/
はかなき恋ににさまよいし/父は陸軍中将で/
片岡子爵の長女にて(ああどっこい/桜の花の開きかけ/
人もうらやむ器量よし/その名も片岡浪子嬢/(ああちょいと)
海軍中尉男爵の/川島武男の妻となる/
新婚旅行をいたされて/伊香保の山にワラビ狩り(ああどっこい)/
遊びつかれてもろともに/我が家をさして帰らるる/(ああちょいと)
武男は軍籍あるゆえに/やがて征くべき時は来ぬ/
逗子をさしてぞ急がるる/浜辺の波のおだやかで(ああどっこい)
/武男がボートに移るとき/浪子は白いハンカチを(ああどっこい)/
打ち振りながら/「ねえ、あなた早く帰って頂戴」と/
仰げば松にかかりたる/片割れ月の影さびし/実にまあ哀れな不如帰」

のぞきからくり ノゾキカラクリ 覗き絡繰 覗き機関 不如帰 ほととぎす ホトトギス 武男と浪子

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